キリンビジネスシステム株式会社は、キリングループ全体の情報システム機能を集約し、IT戦略策定から案件の実行、情報システムのガバナンスを通じたグループ情報戦略の全体最適を主導する役割を担っている。今回は、システム基盤統轄部のワーキングスタイル変革グループ部長の山本光彦氏に、会議室予約管理システム「touch-mee」導入の背景と狙いについてお話を伺った。
キリングループの誰もが利用する情報ポータルやWeb会議システムなどの「共通アプリケーション」を開発・運用し、スマートフォンの基盤運用も行っています。加えて、共通アプリケーションの活用を促進することで、キリングループの働き方改革を推進する役割も担っています。
キリングループ本社において、以前はパネル式の会議室予約管理システムを使っていました。フロアーの入り口に集中端末が1台あり、全部で100ほどある会議室にはパネル式端末が設置されていました。今回、キリンにOffice365を導入することに伴い、既存のパネル式システムのシステム更改が必要であることがわかりました。 そのことをきっかけに、パネル式端末に拘らず、新しい会議室予約管理システムへの切り替えも視野に入れて、検討を始めました。
パネル式システムは、機器を壁に据え付けとなりますので、機器故障時に交換が迅速に実施できないことがありました。また、キリングループは大阪や名古屋、福岡など全国にオフィスがあり、各担当者から「いい『会議室予約管理システム』を教えてください」と問合せがくることもあります。しかし、機器準備期間や費用をかなり要するパネル式については、強く推奨することができませんでした。
比較のポイントとしては、会議室の予約やキャンセルなど、従来のパネル式システムで実現できていた機能が実装されていること、イニシャルとランニングを含めたコストが許容範囲内であること、約半年の期間で切替が完了すること、でした。
前述した条件をクリアした上で、トータルコストが最も安かったことが理由となります。 その他の理由として、touch-meeは、パネル式のように集中端末や部屋前に設置する端末を必要としないので、「他のオフィスへ推奨しやすい」と考えました。
ドアの横に貼られたNFCシート
キリングループのロゴを活用
はい、週末に導入作業を実施し、週明けから使い始められたほどスムーズでした。既存のパネル式との併用期間は3日間だけで、そのあとはtouch-meeに完全に移行することができました。ユーザ操作がシンプルな設計であるため、従業員も大きな混乱なく使い始めることができました。
会議予約をしたい時にスマホがあれば、「今すぐ予約機能」で空き会議室を検索できそのまま予約もできるため、実際に利用している社員は「便利だ」と実感しているようです。また、会議終了時間に近づくと通知してくれる「会議終了時間のお知らせ機能」は、効率的な会議運営を行う上でとても有効です。
キリンホールディングスのブランド戦略部と、「インナーブランディングに活用できないか」という話をし、そこから一緒にデザインを考えました。お客様の目に触れる会議室にはキリンのロゴが描かれたNFCシートを、社員しか使わない会議室には経営理念を書いたNFCシートを貼っています。
弊社にはスマホを持っていない社員もいるということを相談したところ、会議室の入退室操作ができるPCアプリを開発していただくことになり、助かりました。また、弊社独自の会議予約取得運用に対応した機能改修もしていただき、満足しています。
touch-meeには、利用ログを分析する仕組みがありますので、今後は、実際には使われない「空予約」を軽減させたり、効率的な会議進行に有効である「通知機能」を周知させたりすることで、導入効果をさらに高めていくつもりです。
短期間で導入できますし、低コストでもあるので、規模や業種に関わらずさまざまな企業にお勧めできるサービスだと思っています。特に、会議室がたくさんあり、運用が複雑で、常に予約の取り合いになっているような企業にはフィットすると思います。